歌のグルーヴ

昨年夏、鮮烈という言葉で言い表せ無い衝撃を僕に与えてくれたSU-METALさん。1月のキツネ祭りの感想で「上手いなんていうレベルでは無いボーカリスト」とお伝えしましたが、今回はその「凄さ」に、僕なりにアプローチしてみたいと思います。

 

 

SU-METALさんの歌についての評価をする場合、あの「突き抜ける美声」を挙げる人は多いですし、実際あの「声」は彼女のトレードマークと言ってもいいと思います。力強いロングトーン、細い身体から想像もできない声量は印象的ですね。ただ、SU-METALさんの歌は、単に声の魅力だけでは説明付かない「何か」を感じている方もいるのではないでしょうか。

僕が感じるのは、SU-METALさんの歌は物凄く「ノリ」がいいんです。ここで言う「ノリ」というのは、別の言い方をすると「グルーヴ」とも言うやつで、リズムのメリハリ・テンポキープ・音のニュアンス・ビートなどなどを総称した「音のうねり」とでも言うべきもので、かっこいいバンドアンサンブルには必要不可欠な要素なんです。逆にこの能力が弱いと、ペタっとしたメリハリの無い歌になり、聴いた人の多くはそれを「面白くない」と評価すると思います。

ちなみに僕がSU-METALさんの歌において、その「ノリ」の良さを感じたのは、以下の2つの動画を見た時です。

1本目は、彼女らのデビュー曲「ド・キ・ド・キ☆モーニング」。リリースは2011年の10月なので、SU-METALさんは13歳ですね。実際のレコーディングは多分12歳頃だと想いますが、小学生に歌わせるには相当ハードルの高い曲だと思います。マシンガンのような早口言葉のAメロ、サビへのブリッジとしての側面が強く、軽く流す感じのBメロ、跳ねながら疾走するサビ、というカオスな構成の歌を、まだ幼いSU-METALさんは実にさらりと歌いこなしています。

レコーディングだと判りにくいですが、ライブではSU-METALさんは持ち前の「グルーブ」を遺憾なく発揮しています。Aメロの早口言葉は小気味よく可愛らしく、やや抑え気味なBメロからサビで爆裂させる、という流れを深いメリハリをつけながら見事に表現します。僕の中での聴きどころはサビのリズムセクション(ドラム青山さん、ベースBOHさん)とSU-METALさんの連携。

ここはSU-METALさんは全て歌い方を変えていて、「りんっりんっりんっ」の歌い方一つとっても全部変えてるんです。ドラム・ベースの跳ね方のニュアンスを感じながら意図的に「調整」をかけつつ、ぐいぐいと疾走する。細かく聴いていると、ドラムとの「対話」は多いですね。しかも、あくまでも曲で演じているキャラクターは可愛らしさを基調としています。これらを全て表現するSU-METALさんは「本当に何者なんだ」と感じです。

2本目は何度か紹介している「イジメ、ダメ、ゼッタイ」のライブバージョン(ソニスフィアのファンカム)です。僕が完落ちした彼女らの代表曲ですが、こちらではSU-METALさんの「ノリ」のもう一つの魅力である「疾走感」を堪能できます。

「ノリ」にも色々あって、SU-METALさんは比較的「前ノリ」。それがこういうスピードチューンには見事にはまると思っています。ちなみにSU-METALさんの「前ノリ」を確認しやすいのは、こちらの動画。

さくら学院の「My Graduation Toss」。この曲の1分近辺からソロパートになりますが、比べて聴くとここでソロを取る中元すず香(SU-METAL)さん、堀内まり菜さん、佐藤日向さんの3人がものの見事に「ノリ」が違うんです。つまり、最初のソロの中元すず香さんは「突っ込み気味の前ノリ」、次の堀内まり菜さんは「結構後ノリ」、最後の佐藤日向さんは「ほぼジャスト」。3人それぞれ上手い人ですが、リズムの取り方などにはそれぞれの癖とか個性とかそれまでの音楽遍歴なんかも影響するので、こんな感じで分かれることもあるんです。(個性なので、良し悪しの話ではない、ということはお断りしておきます。)

さて「イジメ、ダメ、ゼッタイ」に話を戻すと、SU-METALさんの「独特の前ノリ」は、この疾走系のスピードチューンにおいてはとてつもない「推進力」として機能しています。バンドをぐいぐいと声で引っ張り、オーディエンスにずいずいと切り込んでいく、「声の槍」ともいうべきものですね。

 

 

さて、バンドを引っ張る強力な「推進力」と、バンドと連携しながらリズムを丹念に紡ぎあげることができる「センス」。この二つがどうして彼女の中で同居し得るか、ということも少し考えてみたいと思います。

僕が、SU-METALさんの歌の魅力を探求する中で印象的だったのがこの映像です。

この時、11歳。この歌の中でSU-METALさんの何が特徴的かというと、あの体の動かし方なんです。最初、不思議な動きをしていますね。曲の後半になると、足の動きも加わります。これこそが、SU-METALさんの歌の魅力である「ノリ」を明確に表しています。リズムを身体で捉える、ということをこの歳からやっています。曲の呼吸みたいなものを、なぜかこの人は身体で感じて声に出す、というのが分かっているみたいなんです。それ以外の要因(言葉や表情)は当然ありますが、この身体の動きが歌に命を吹き込むポイントだと僕は思うんです。身体が曲を感じて、身体で歌う。言うなれば音楽そのもの。それがSU-METALさんの特徴なんじゃないかなと思うんです。

現在、身体を使うというのはもっぱら振り付けですが、それも実は彼女の中では変わらなくて、身体で歌うということの延長なんじゃないかな、と時々思います。ただ、なんとなく身体動かしながら歌っていたのとBABYMETALの過酷な振り付けはレベルが違う。それでも、彼女の中で折り合いつけるために、とてつもない訓練を積んでいる。歌いたい歌があって、それを目指して厳しい努力を怠らない。どんな体勢からでも強い声を出せる努力を常に行っているからこそ、あのパフォーマンスができると考えます。

SU-METALさんの歌の最大の魅力は、そんな全身全霊なところに帰結するのかな、という感じです。

 

 

 

 

 

本当にこの人、刺激になります。サボってなんかいられない!って思わせてくれるんですもの。

 

 

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