恐怖体験
投稿日: 2014/07/29 カテゴリー: ベース神子のつぶやき。 | Tags: うなぎ, ぶるぁぁぁぁぁ, アナゴ, アナゴ男, 聖蹟桜ヶ丘, 若本, 土用の丑の日, 強力わかもと コメントする静かで奇麗な聖蹟桜ヶ丘に落ち着いて早い物で2ヶ月。暮らしもようやく馴れてきた。近所のスーパーなんかも勝手が分かってきたそんな矢先、事件は起きた。
勤め帰り、いつも通りくたびれて近所のスーパー物色。探す酒と魚、刺身。そんな折。
スーパーのうなぎ売り場のすぐ側に、虚ろな目をした青白い顔の男?が立ってた。
奴は、他の客がうなぎを手に取る度に「ビクっ!」と身震いし、声とも呼気ともつかない音を口から吐くのだった。うなぎのお客さんの多い時期だから、その男は身震いしっぱなしに近い。と、そのうち、その男に異変が。
呼気に近かった「音」が「言葉」になってきたのだ。そして何かをつぶやいている。
「・・・カッテヨ・・・モ、カッテヨ」と聴こえる。意味がさっぱりわからない。
謎を見て飛びつかない訳にはいかない。僕もうなぎを手に取る振りをしてみた。様子見。しかしその男、やおら豹変。僕の方に向かってつかつか歩き、こういった。
「ねえ、アナゴも買ってよ」
何の事か一瞬分からず「ナンですか?」と聴き返す僕。これまでよりもさらに言葉に力を込めてその男は言った。
「アナゴも、買ってよ!アナゴ、美味しいんだよ!
なんでアナゴ買わないの?
ねえ、なんでアナゴ買わないの?
おかしいよ、君たち、うなぎばっかり。
アナゴも買ってよ、アナゴも!!!!!」
・・・スーパー中に響き渡る大音声。見るとその男、青白い顔にほのかに赤みがさしている。たぶん、この男はアナゴの親戚か何かなんだろう。僕は、ああわかったよ、アナゴは美味いよ。でも、今日はアナゴをつれて帰るだけの持ち合わせがないのだ、だから今日は勘弁してくれと言うと、「貧乏人め」という蔑む様な一瞥を僕に残し、再び「定位置」(うなぎ客監視体制)に戻った。
(さんまの蒲焼きがとても恨めしげな目でその男のことを見つめていたことに彼は気づいてはいなかった。これは後日別の災いの種となる。)
這々の態でレジを済ませると、またあの声。
「アナゴも、買ってよ!アナゴ、美味しいんだよ!
なんでアナゴ買わないの?
ねえ、なんでアナゴ買わないの?
おかしいよ、君たち、うなぎばっかり。
アナゴも買ってよ、アナゴも!!!!!」
あの男のアナゴへの妄執と、うなぎに対する僻みの理由はよく分からない。
しかし、うなぎ客に執拗に食い下がろうとする姿、じっと獲物を待ち構える姿に、僕はアナゴを見た。あれはアナゴ男だったのだ。
たぶん今日も、アナゴ男はうなぎ売り場で待ち構える。うなぎの客を。多分、イチバン大変な想いをする日。うなぎ客が最も多い日。土用の丑の日なんですから。
※一部虚構が含まれています。
「未知との遭遇」
投稿日: 2014/07/06 カテゴリー: ベース神子のつぶやき。 | Tags: オーディオ, ヴードゥー・ダック・スターズ, 知の悲しみ, JBL, LINN, Voodoo Duck Stars コメントする先日、ワイフ(妻)がツイッターでお知り合いになった岩田由記夫さん(@IWATAYUKIO)のお宅にお邪魔した。岩田さんのオーディオを試聴させていただく機会を頂戴したのだ。
オーディオと言えば、我が家ではJBLのSAS-101というモデルを使っている。
数年前に購入したもので、パワーアンプとかスピーカーがセットになった、所謂オーディオのエントリーモデルとして選んだ。ちなみにそれまでは出所のよくわからないオーディオセットを使っていて、音楽を聴く環境としては良くはなかった。それと比べるのは失礼過ぎる話だが、格段に良く鳴る。楽器で言えば雑誌に時々出ている怪しげなメーカーのエレクトリックギターとgibsonくらいの歴然たる差。もちろん今でも愛用品で何の不満も無い。
ところが今回、岩田さんのところで試聴させて貰えることになったオーディオは遥かに次元の異なるレベルと言う。価格を聞いてびっくり。何と約1000万円だとか。そんな音、聞ける機会なんてそうそうある訳はない。早速、練馬に向かった。
その試聴会には僕ら夫婦の他にお二方が参加していた。皆さん、非常にジェントルで詳しい方ばかりで、浅薄な知識しか無い自分にややどぎまぎしつつ、お話を色々お伺いした。今日、聴かせてもらうオーディオは英国のLINN社製のものだという。英国王室御用達のメーカーということだった。その前に、パソコンでもいい音を出すことができるスピーカーとしてHQMを試聴させてもらった。
筐体は軽いけど、下に鋳鉄の土台が何やら良い仕事をしているとか・・・正直、これでも十分過ぎるくらいいい音。サイズ的にもパソコン以外にもテレビとかDVDとの接続なんかもいいかな?という感じ。
そんなこんなで場が温まったところで場所を岩田さんのオーディオルームに移動して、メインのLINNの試聴に。
オーディオルームには、数万枚のCDがあった。そしてその奥にLINNのオーディオが鎮座していた。
そして、試聴開始。
何百回も聴いて良く知っている曲は、やはりそのスペックがわかりやすい。ビートルズはコーラスのひとつひとつ、リンゴ・スターの叩くドラムの微妙なニュアンスがとってもよくわかったし、ニルヴァーナはあの有名なSmells Like Teen Spiritのサビでカート・コヴァーンがどういう風にカッティングを入れているかがもの凄くよくわかった(これまでの環境だとあの音は完全に潰れてよくわからなかったのだ)。ただクリアなだけではなく、ミュージシャンなりエンジニアなりが志した音の世界がストレートに表現されている、という印象だった。
中でも、自分の中で印象的だったのは恐らく幼少期から数千回は聴いたキング・クリムゾンの「21世紀の精神異常者」という曲。
母親が大好きで子どもの頃から良く家でかかっていて、自分も大好き。ジャケットも展開も凶悪そのものだけど、自分にとっては最も馴染みのある曲だと言える。しかも音の数も間も多いから、オーディオのスペックを自分に理解させるにはベストな選曲。そしてその選曲は、正解だった。感涙ものの体験だった。音のひとつひとつが潰れない。でも、ちゃんと一体化して聴こえている。僕が今まで聴いて来たものと全然違う。格段にいい。ナンなんだこれは!!!!という感じ。
その後もクラプトンのTears In Heavenとか、カーペンターズのベストとか色々聴かせてもらったり、お話をふむふむとお伺いして会は楽しく終わった。普段耳に入れている音が、オーディオひとつで変わるというのはJBLを使ってて理解していたつもりでも、やはり上を見上げれば凄い世界が広がっている。富士山の頂上とエベレストの頂上では見えるものが違うのと同じだけど、登ってみないと違いなんて語れない。僕にとって我が家のJBLは富士山くらいの価値があると思っているけど、その遥か上のグレードの世界で聴こえる音がどういうものか、とっても良く知る機会でした。
幸い、知の悲しみというものとは無縁に、今日も我が家のJBLは絶好調。ミスチルもディジー・ミズ・リジーも心地よく鳴らしてくれる。うい奴。ていうか、むしろこのセットにこれまで以上の愛着がわいた。いいオーディオだねえ、君も。まだまだ、頼むぜ!とハグしたいくらいのハイテンション。そして、久しぶりに脳と気分がハングリー。皆さんもの凄く詳しくて、俺もっと色々知りたい気分。本当に良い体験でした!
最後に、こんな素晴らしい機会をくれた岩田さんに心から感謝申し上げるのです。ほんとにほんとに感謝です。ありがとうございました。